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My Audio Project

このページでは当オーディオ装置の構築プロセスや音質改善のための体験を通して同好の皆さんとの交流の場にしていきたいと考えています。
掲載内容についてご意見ご質問など有りましたらメールどうぞ
Email to:SUZUKI ELECTRIC.



【EMT 930 TURNTABLE】


EMT-930モーターを選んだ理由は、バロック系クラシック音楽を再生することの多い私としては何としても光悦スペシャルバージョンカートリッジの性能を最大限に発揮させたいという思いから、必然的にトレース能力の高いダイナミックバランス型トーンアームが不可欠ということでダイナベクターDV507MKUしかないと結論付け、このアームが使える高精度モーターはといえばEMT-930しか無いだろうということでの選択だったのです。927モーターの良さも実感してはいたのだが、ショートタイプのDV507MKUが使えないというで高価な927を諦めたのです。EMT-930モーターを使うにあたっては進相コンデンサー&サープレッサー抵抗の交換と220V外部供給電源の導入が不可欠でした。標準装備の粗悪なMPコンデンサーとホーロー抵抗ではどうにもマトモな音にはならないので、3mm厚真鍮板とセラミック端子台を使用してCeramic Cap+Sprague Resistorによる進相コンデンサーユニットを製作しました。その後、真鍮板を取り外しアルミナボードとセラミック端子という組み合わせでGR-SS+アルミナプレート3枚下敷きとしてこの部分の改善は終了したと感じています。また、モーター駆動用の220V供給にはアメリカ製1KVタイプのトロイダル型アイソレーショントランスを100V:220Vで使用し220Vライン用ヒューズにはWE 70F 1/4A FAST BLOW TYPEをパラレルで使用しています(小容量ヒューズをパラレル使用することで俄然音が良くなります)。このヒューズの音の良さを体感すればそこそこ知名度のあるLITTELFUSEやBUSSMANなどのアメリカ製スローブローヒューズがそれ程でもないことが分かります。


【TURNTABLE SHEET & RECORD STABILIZER】

情報量を減らさずに余計な変調のかからない最も優れた素材ということを第一に考えるならばオーディオリプラス製水晶シート以外に選択肢はないと思います。また、アナログレコード再生に必要なセンタースピンドルで使用するレコードスタビライザーも水晶製が不可欠で、如何に着色の少ない信号をMCトランスやプリアンプに伝送するかという目的を達成するためにはターンテーブルシート同様極めて重要ではないかと考えます。高周波発信素子として使用される単一振動モードを持つ単結晶水晶振動子に着目したスタビライザーやインシュレーター、ターンテーブルシート、カートリッジシェルなど物理振動を可聴帯よりも高い共振周波数で拡散させることでオーディオ帯域に影響を与えずに効果的に振動を処理する方法として、これ以上有効な素材は先ず以って存在しないのではないかと思います。


【KOETSU MC CARTRIDGE】

ダイナベクター507MKUの高感度アームで最高の性能を発揮出来るカートリッジといえばKOETSU以外に存在しないのではないかと思います。画像は初代光悦さんが長年温存していた原石から切り出した気泡の全く無いヒスイケースで、間接音の表現力に長けたトレース能力の高いボロンカンチレバー+プラチナマグネット+WE OLD MAGNET WIRE仕様というスペシャルバージョンカートリッジです。どんなに優れた高品質カートリッジが出現しようとも、小手先のごまかしなど一切受け入れてくれそうにないオイロダインKl L439+平面バッフルという類い稀なるスピーカーシステムを使い続ける限り、繊細で残響の長いバロック系の再生において独壇場とも思える程のリアリティーを発揮する光悦スペシャルバージョンカートリッジを容易に否定することは出来ません。


【MC STEP UP TRANS】

WE 201 TYPE COREを使用した光悦MCカートリッジ用昇圧トランスで昇圧比は1:15と比較的低めの設定です。入出力端子はWE製を使用し設置用インシューレーターにはAudio Replas GR-SS+RSI-M6を使用しています。WE555Wや594Aスピーカーを使用していた20~40代の頃はWE261Bや208PなどにSPUやTYPE-C、FIRCHILD 225A等を組み合わせてジャズやロックなどを楽しんでいましたが、KLL439スピーカーの導入と共にWE純鉄リングコアを使ったMCトランスを使うようになり、ようやくクラシック音楽が聴けるようになったという気がしました。職業がら比較的多くのMCカートリッジ用昇圧トランスなるものを聴く機会に恵まれましたが、古典的なローコンプライアンス型カートリッジ+パーマロイコア型MC昇圧トランスあたりで情緒的に音楽を鳴らすならそれなりに雰囲気も有りあれやこれやと音の違いを楽しむことも出来るでしょうが、クラシックレコードのオーディオファイル盤あたりを再生して、音の良いコンサートホールの上席にでも身を置いているかのような気分にさせてくれる程のクオリティーを求めるなら、WE系マイクトランスやライントランスなどの代用品や親指の先ほどの小型パーマロイコア型MCトランス程度では役不足感が否めないのではないか。私たちが求めているHi-Fi再生のためのMCカートリッジ用ステップアップトランスというアナログレコード再生の根幹を成す昇圧トランスにこれぞというものがほぼ皆無という現状を踏まえれば、可能な限り音質の良いコア(ここでは磁路に切れ目が無く比較的ブロードな磁気特性の純鉄コアを指します)を使い、そのカートリッジのインピーダンスにマッチした昇圧トランスの製作が必要不可欠なのではないかと思います。


【PREAMPLIFIER】

ようやく完成したプリアンプに電源を入れ数枚のレコードを聴いてみましたが、もう少し全体のバランスを整えようという気になってあちらこちらのCR定数を変更しながら試聴を重ね概ね納得出来る状態にまでになって来た。10年以上使い続けて来た初代4D22プリアンプからの再構築ということで想定通りにいくかどうかという不安もあったが、まずまずの出来栄えでホッと一息というところです。今後はエージングによる音の変化に対応するための微調整が必要になって来ることは当然ですが、ここ数日間のエージングによる音の変化を聴く限り前回のプリアンプを上回るだけの可能性を秘めた新型プリアンプになって来た感が有ります。画像2枚目はアンプ内部ですが、CRパーツの設置にはアルミナプレート+セラミック端子を使用し、各増幅段へのB電源供給回路(デカップリング回路)は積層セラミック+MALLORY TC電解のハイブリット構成としています。配線材としては、信号回路にはWE2A LITZ WIREを使用し電源供給回路にはWEオールドワイヤーを用途に応じて撚り線と単線を使い分けています。B電源の外部供給接続にはAMPHENOL+MILLEN製セラミック型、HT電源供給にはWECO製高硬度セラミックターミナルブロックを使用することで接続部分での音質劣化を極力回避するよう心がけています。


2025/6/17 昨日客様の装置の積層セラミックによるデカップリング回路にWEリングコアを接続して俄然音が良くなったことから、我が家の装置でも1st-2nd Stage間にWEチョークを入れてみようということで急遽手元に有ったWE61B RETを取り付けてみた。7H/70ΩDCRという普通ののインダクターだが効果は抜群で、見違えるほど音のバランスが良くなり品の良さが加わったような劇的変化です。この音の変わりようはコアの形状なのかコア材の質の違いなのか。いずれにしても、初段管のデカップリング回路にチョークを入れただけでこれほど劇的に音質改善が出来てしまうのも少々驚きです。


【LCR RIAA EQUALIZER】

構想から半年近く経過してやっと完成したMONORAL LCR EQ(RIAA/COL/AES/FFRR)だが、今回はあまり時間もないので1.8H/45mHのインダクターは以前のままで使用することにした。とはいえ元々1.8Hは64A RET PRESS CORE、45mHは25A REP WIRE COREを使用しているので極端に新旧の差が出るとは考えていない。いずれにしてもOLD BELDEN MAGNET WIREの威力を知ってしまった以上どこかのタイミングで巻き直しをしなければと考えてはいるが、中々時間のかかる作業だけに今一歩踏み出せずにいる。
その後、以前からお使い頂いているMONO LCR EQに新たに2種類(DIN & CCIR)のカーブを増設したいとのご依頼が有り早速設置してみたのですが、後日DINカーブで聴くDG最初期10インチモノ盤がとても素晴らしいとの喜びの声を届けてくれました。それならば本機にも付けてみようということになったのだが、しかし私のレコード棚にはいわゆるDG盤白33(というらしい)などという最初期盤など1枚も有るはずもないので、現時点では検証してみようにも全く以って無理なのだ(笑)。それにしてもどのEQカーブに切替えても全くクオリティーの落ちない新型LCR EQ UNITの構築により新たなレコード音楽の世界が広がるかもしれないという中々興味深い展開になって来た。

最近、初期のDG MONO盤にはAESに似通っているがAESに比べ高域が僅かに上昇するというCCIRというカーブがDG MONO盤の多くに合致するとの新たな情報を頂いたので、早速試してみようと思い当装置ではあまり利用することの無いEQ PASSスイッチをCCIR用に変更してみました。その後数枚のDG MONO盤(CCIR CURVE)や前出の白33盤(DIN CURVE)を入手することが出来たので遅ればせながら試聴してみることにした。

上の画像はマイナルディのハイドンチェロコンチェルトですが、16023(GY1)DINカーブ、18222(GY2)CCIRカーブで再生するとどちらも非常にバランスの良いニュートラルな音でそのレコードにマッチしたカーブで再生するとこんなにも瑞々しい音で録音されていたのかと改めて感動してしまいました。同様にフリッチャイの真夏の夜の夢18001のGY1GY2をEQカーブを切替えながら試聴してみましたが、やはり白33レーベルはDINカーブで通常のレーベルの方はCCIRカーブで上手く再生出来ましたので、DGオリジナル盤に限ってはほぼ間違いなくDIN(GY1)→CCIR(GY2/GY3)→RIAAカーブへと移行していったのではないかと思われます。ということは、DG盤はAESカーブが一枚も存在しないままいきなりRIAAカーブに変更されたということになりますので、今までDG MONO盤をAESカーブで再生されていたであろう多くの音楽愛好家の皆さんには大変ショッキングな結果になってしまったかも知れません。


【600Ω ATTENUATOR】

PREAMP→LCR EQ→本機というラインナップで従来から使用しているものに少し手を加え、WEインチラックに鉄製ベースを使い高純度アルミナプレート+セラミックターミナルポストにSPRAGUE BLUEJACKET RESISTORを設置していますが、単純な機能だけに不確実な要素を極力排除し正攻法での攻略が必要な部分だと感じています。


【MATCHING TRANS】


こちらは600Ω型アッテネーターとパワーアンプの間に接続するマッチングトランスとして製作したものです。私のアンプはプリもパワーも比較的ハイゲインなためトランスのレシオ比をそれほど高く取る必要がないので5倍程の昇圧比(600Ω:15KΩ)で製作しました。このトランスのコアはWE201型インプットや61A/B RETなどを解体したもので、本機はケースによる音の違いを比較する意味も有ってWEトロイダル型トランス用鉄ケースに封入してみました。この201型トランスの最も魅力的なところはF特が広く誇張感のないニュートラルな音楽表現をしてくれるところです。


【POWER AMPLIFIER】

このパワーアンプは6AB7-6AG7-INT(WE201 CORE)-4D32pp-5Kpp:0-8-16Ω/50W Output Trans の3段構成で+B供給用電源には371Bと705Aをパラレル接続にしています。6.3VのヒーターDC点火はLR独立でセレニウム両波整流チョークインプット回路を採用し、平滑用コンデンサー(2,000MF)は積層セラミック型をアルミナボード上に設置しています(詳しくは下段のHT電源の項参照)。このアンプに使用している4D32というパワー管の素晴らしいところは、一般的な認識として「図体の大きな球は大雑把な音がする」という定説をいとも簡単に覆してくれるだけの繊細さと緻密さ、広帯域特性、フラットなエネルギーバランスなど、音楽再生に必要な増幅管としての全てを兼ね備えているかのような気にさせてくれるところです。もちろん前段を構成している2本のメタル管も並みの電圧増幅管ではありません。巷でもてはやされているWE系ST型電圧増幅管はどれも内部抵抗が高く付帯音が多いので、私達が目指しているハイファイオーディオ再生装置の構築という観点からは先ず以って候補に上がることは有りませんが、3極電圧増幅管の中でも比較的マトモな音のするKEN-RAD 6C5(METAL)や6SN7GTなどがことごとく寝ぼけて聴こえてしまう程本機に使用しているKEN-RAD6AB7や6AG7の3結は色付けが少なくパワフルでシャープな名刀の切れ味のような音がします。要約すれば星の数ほどある電圧増幅管の中でもKEN-RAD 6AB7-6AG7の二段増幅は物理振動が少なく直線性に優れた単5極管を3結で使用することで、並みの電圧増幅管とは桁違いの広帯域特性と付帯音の少ない強力なドライブ力を兼ね備えた前段増幅回路を構成することが出来るということなのです。


連休に入り少し時間が取れたところで半年ほど前から計画していたパワーアンプの再構築を始めた。予定ではWEオリジナルラックマウントシャーシに組み上げるつもりでいたのだが、スペース的に少々無理な状況になって来たので、いずれ電源でも組もうと思って保管してあった少々サイズの小さな鉄製シャーシ2台にL/Rを独立した形で製作してみることにした。L/R独立型とはいってもLR共通のデカップリング回路を片方のシャーシに設置したため画像のような外観になってしまった。高品質デカップリング回路の重要性を体感している私としては、同一電源からB電源を供給する真空管式パワーアンプでは各段ごとの厳重なデカップリング回路がいずれ必ず音質的効果を実感することになるとの思いが有り、敢えてスペースファクターの悪い全段チョーク型デカップリング回路を採用した。
翌日朝から音出しを始めたのは良いが、物理振動による影響なのか前機と全く同じ定数というわけにも行かず改めて電圧調整を兼ねて音のバランスを取るための作業が必要になって来た。せっかくだから少々見栄えのしないデカップリングチョークのひとつをシャーシ内に収めることとし、グリッドサープレッサー抵抗や初段管のB電圧供給回路を見直したりした結果少しずつ音も落ち着いてきたようだ。
その後数日間プリアンプの不具合なども有りあちらこちらを調整しながら試聴を繰り返しているが音質的にも大分落ち着いてきた感じで、少しずつではあるがアルミナボードへの部品設置や2Aケーブルでの内部配線等が効果を発揮してきたかなと思わせる音になって来た気がしています。レコードによっては僅かに高域の分解能が気になっていたことも有り、B回路のデカップリングチョークのひとつをWEトロイダルコア製に変更してみたのですが、これって一体どういうこと?というほど一気に全てが解決してしまった感じだ。以前からプリアンプのB回路のデカップリングにもWEトロイダルコアインダクターを使用して来たが、改めてこのインダクターの凄さを実感させられた気がしています。


今回の音質改善ポイントとしては当初の思惑通りCRパーツの物理振動対策が効を奏したということでほぼ間違いないと思うが、デカップリング回路のCRまでもアルミナボードを介して設置したことも上手く行った要因のひとつだろうと考えています。上の画像は初段から終段管までのL/R共通B電源用デカップリング回路ユニットです。回路は初段管(10MF/500VDC)、ドライブ段(10MF/500VDC)、パワー段(20MF/500VDC)となっており、各回路ごとに周波数特性の良い高品質ブリーダー抵抗を配置することで容量誤差による印加電圧のアンバランスを抑えています。

2025/6/5
昨日は電源ヒューズの設置と積層セラミック仕様デカップリングユニット+メインアンプ用超高純度アルミナプレートSPターミナルの試聴実験を兼ねて都内在住の音楽愛好家さん宅に訪問させて頂きました。初めに2台のアイソレーショントランス(200V→100V)の一次側に設置してあるBUSS FUSE HOLDER+SLOW BLOW FUSEをWE KS14169 FUSE BLOCK に交換し音質の変化を確認してみようということになりました。なお、このヒューズホルダーには専用のファストブローインジケータ―ヒューズが必要なのですが、今回は10A以上の負荷ということも有り8A+5Aのパラレル使用としました。音の傾向をその都度確認しながら作業を進めようということでプリアンプ用→パワーアンプ用の順に取付作業を進めましたが、思惑通り劇的に解像度が上がり音楽が一層魅力的に再現されようになりました。次はアルミナボード上に設置した積層セラミック仕様デカップリングユニットの試聴ですが、ついでに超高純度アルミナ製SP端子も仮付けしての試聴です。積層セラミックの音の傾向を確認して頂く意味も有って先ずは初段増幅回路のデカップリングに使用しているマロリー製TCシリーズ電解を外した状態(初段のみ積層セラミックだけで二段目と終段は電解+積層セラミックの状態)で試聴して頂きました。高域の誇張感や低域の分解能が改善され穏やかな傾向の音に変化したのですが、もう少しエネルギー感と音に張りが欲しいということで初段のマロリーTC電解を元に戻し、全段積層セラミック+マロリー電解という複合回路での試聴となりました。結果は見事にリフレッシュされた音楽が眼前に広がり、これ以上いったい何を求めるというのかと思えるほどの魅力的な音楽を奏でてくれました。これほど音楽性豊かな結果が得られたのは、やはり積層セラミックの分解能の高さとマロリー電解コンのエネルギー密度が互いの弱点を補ってくれた結果なのだろうと考えられます。しかしながら、超高純度アルミナSP端子と電源ヒューズの高分解能化が下支えとなってのこの結果だということも忘れるわけにはいきません。ちなみに当方の同形式の装置ではプリ、パワーとも今回と同様の積層セラミックによるデカップリング回路を採用していますが、反応の速いオイロダインKl L439というSPの特徴なのかどうかは定かではありませんが、全く電解コンによる力感的味付けを必要としません。そこのところの違いはSPシステムの違いもさることながらルーム環境の違いが大きな要因となっていることは明らかで、広い空間での満ち足りた音楽再生には如何にエネルギーを要するかという証でもあると思います。なんせ猫の額ほどの我オーディオルームとは桁違いの広さと天井の高さを有するリスニングルームですから当然と言えば当然です。さて、今回の音質改善の立役者とでもいうべき積層セラミックですが、かつて手に入れる術がなかったころにはマロリーTC電解にELMENCO SILVER MICAやVTQ196Pなどをパラレルにして我慢していたことも有りましたが、この積層セラミックの入手が可能になってからは他のコンデンサーをパラレルにする必要性を全く感じなくなってしまいました。というのも、この積層セラミックの伝送速度の速さと物理振動の少なさは、あれほどシャープな切れ味を持っているELMENCO SILVER MICA(誤差1%のKS仕様)が少々鈍く感じられるほどで、まさに名刀の切れ味とでもいうべき超高性能コンデンサーなのです。ヒーター直流点火回路のリップル除去用から高圧整流回路&デカップリング回路、カソードパスコン、SPネットワークなど用途に応じてありとあらゆるところに使用してきたこの積層セラミックコンデンサーですが、少々高価であることや入手量が限定的であること意外にこのコンデンサーユニットの導入を躊躇する理由など有りません。

2025/6/15 前回取り付けたプリアンプ側のWEヒューズホルダー(13A MAX)では少々容量不足との判断で今回新たに5A×4(20A)とした。念のため13A仕様で問題の無かったパワーアンプ側も15Aまでアップした。実際にはそこまで消費電力が大きいわけではないが、アイソレーショントランスのアイドリング電流やIsoteK電源クリーナーの内部損失+Fast Blow Fuseの突入電流対策などを加味して今回のヒューズ容量とした。15Aタイプ2台のトロイダル型アイソレーショントランスで本オーディオ装置の全てを賄っているということですが、当装置ではプリプリアンプ側で705A×4/371B×4高圧整流ユニット2台+L/R独立セレニウム整流ヒーターDC点火ユニットを使用し、パワーアンプ側でも全く同様のラインナップを使用されていますので全体の消費電力も相当なものとなっています。せっかく伺ったので前回の積層セラミックデカップリング回路の初段管とドライブ管の間にWEリングコア型チョークインダクター(10H/DCR100Ω)を設置してみた(このアンプでは初段管のデカップリング回路のみスペースの問題も有って一般のアンプと同じようにCRのみの回路構成だ)。音質改善効果はすでに私の装置では実証済みなのだがやはり多少の相性も有るので先ずはワニ口クリップによる接続で試聴してみましたが、前回を軽く上回るほどの音楽性豊かな再生音となりました。


INTERSTAGE TRANS】

私の装置ではプリアンプとパワーアンプの両方にWE201型コアを使用した位相反転トランスを使用しています。どちらもレシオ比は1:1+1で全くゲインのない位相反転だけのためのトランスです。インターステージのように比較的信号の大きい回路でのトランスによる大きなインピーダンス変換は、Hi-Fiアンプの構築という目的を達成しようとする場合周波数特性重視という観点から必ずしも得策ではないと考えます。なお、インターステージトランスの一次側にDCを重畳する回路では、一聴して力強い感じを受けますが音楽鑑賞用のHi-Fiアンプとしては付帯音の多さやレンジの狭さが気になります。そうなると必然的にパラレルフィード回路の採用となりますがこちらはCRの品質が問題になります。WEに夢中になっていた頃はWEピッチペーパーや38抵抗などを使用して一人悦に入っていた時期も有りましたが、あの付帯音の多い分解能の悪さがクラシック音楽のアナログハイファイ再生というセンシティブな目的達成にはそぐわないものだと理解するにはそれなりの時間を要しました。結局のところ良質なインターステージトランスの構築には如何に高品質なギャップのない純鉄コアと音の良いマグネットワイヤーを使用してDCアンバランスの少ないトランスを製作するかにかかって来ます。


【KLANGFILM Kl.L439 + FLAT BAFFLE SPEAKER SYSTEM】


SP装置の移動から約半年経ってようやく天井の高さが効果を発揮し始めた感がある。ルームチューニングの難しさもさることながらアンプ系の設置方法やMCトランスの配置方法など数多くの難関を乗り越えてやっとここまで来たという感じです。改めてルームチューニングに係る物理振動やオーディオ機器の設置の際のインシュレーター等の導入に無関心ではコンサート会場並みの質感で音楽を再生することなど不可能だということを思い知らされた気がします。ここ数日間何枚かのレコードを繰り返して聴いてみたが、少しルームチューニングをやり直してみる必要があると感じていた矢先に近所のNさんが来訪されたので、手助けをしてもらいSP後方壁のチューニング材を少しばかり移動してみた。オイロダインKl L439と平面バッフルというセンシティブなスピーカーシステムのせいも有るだろうが、チューニング材をほんの数センチ上下左右に移動するだけで音のバランスがコロコロ変化する。少し拡散させると全体的に穏やかな傾向になりドライバーの真後ろ付近にチューニング材を取り付けると音楽の集中力が増す。低域から中高域に関してはカーネギーホールにも設置されているQRD Diffractalで決まりだが、中高域から超高域帯の調整にはAudio Replas製ルームチューニング材の効果的な配置を探さなければならない。30分ほど位置をずらしながらながら試聴を繰り返してみたが中々良い感じになって来た。


【Kl.L349 SPEAKER 2WAY NETWORK】


オイロダインを導入するにあたってネットワークは自分で製作するという前提が有りました。オリジナルネットワークのインピーダンスは12Ωですが、KL406のインピーダンスが7.5ΩでKL302が12Ωということでインピーダンスマッチングを取るためにウーハー側にマッチングトランスを使用して12Ω:7.5Ωとしているが、このオートトランスが音を悪くしている要因にもなっている。それならばということで、KL406を8ΩとみなしKL302の高域減衰用抵抗とボイスコイルインピーダンスを合成抵抗としてー7db減衰時のCとRを算出し単純な6db/oct -3db クロスとした。LにはWE針金コアとWEリングコアから外した黒エナメルワイヤー7本撚りを使用し、CカットにはMultilayer Ceramic Capacitorをシリーズ接続、RにはSprague Bluejacket Wirewound Resistor 10Wをパラレルで使用した。入出力端子はWECO製セラミック端子台とアルミナ端子台を使用し配線材にはSPケーブルと同様のWEリッツワイヤーをシルクテープで絶縁しシェラックで含浸したものを使用しています。このネットワークの音の良さを実感してしまうとオリジナルネットワークの回路構成や粗悪なパーツの使用がオイロダインの過小評価に繋がっているひとつの要因となっているのではないかという気になります。同構成のネットワークはすでにハーツフィールドやタンノイ、WE555+TA4151システムなどでの音の良さは実証済だ


【ISOLATION TRANS & POWER TAP】

200V⇔100VアイソレーショントランスにはWESTERN INC製(5KVA)とアメリカ製トロイダル型アイソレーショントランス(1.5VA)を使用しています。各アンプのヒーター回路やEMT-930のモーター駆動用にはトロイダルアイソレーショントランスから供給し、その他の高圧整流ユニットへの供給にはWESTERN INC製を使用しています。これ以降の電源タップにはオーディオリプラス SBT-4SZ/HG-MK2SRとSBT-4SZ-MK2SRを使用していますが、このパワータップのOutletは2基ともWattgate 381 RH evoに変更してあります。全ての電源用接続ケーブルにはWE2A LITZ WIREを電流容量に合わせてパラ接続で使用しWattgate 330 RH evoを通して各機器に供給しています。もちろんここでも全ての機器への電源供給ラインにWE KS14169 FUSE BLOCK+WE FAST BLOW INDICATOR FUSEを使用していますが、今のところこのヒューズを超えるような高音質ヒューズを知りません。

2025/6/20 昨日は午後から近所のNさん宅に壁コン→200V:100Vアイソレーショントランス間の電源ケーブルをWEリッツ線ケーブル(5本束)に交換するための作業に伺いました。やはりこの装置でも分解能が上がり高域のピーク感が全く感じられない程の音質改善効果を確認出来ました。いつもながらこの細さの特別純度の高い素材でもない80年前のワイヤーがこれほど音楽性のある豊かな音を出してくれることに驚きます。音声信号系の最高峰2Aリッツワイヤーが枯渇した現在の状況ではこのリッツ線とて今や大変貴重な存在となってしまった感が有ります。


【POWER CLEANER】
日頃から親しくお付き合いを頂いているお客様からのご厚意によりお譲り頂いたIsoTek EVO3 SIGMASを使用し好結果が得られたのをきっかけに単独使用を目的としたスペースファクターの良いコンパクトな電源クリーナーをと思いあちらこちら探していたらUK仕様のIsoTek NOVA ONE EVO3というデットストック品を見つけたので早速導入してみることにした。


一週間ほどで届いたコンパクトなNOVA ONE EVO3(画像右)なのだが、果たしてこの程度のモノでそれ程多くを期待していいものかどうかという不安も無いわけではないが早速設置してみた。本機はUK仕様なので前もって購入しておいたロジウムメッキタイプのUK PLUGにWE2A LITZ WIRE+WATTGATE 330RH evoを使ってプリとパワーアンプのセレニウムヒーター電源に供給することとした。AC入力側はEVO3 SIGMASと同様SBC-2SZ(改)からの出力をWG-330RH evo→WE2A LITZ WIRE→WG-350i RHを使用しての電源供給だ。夕方頃から数枚のレコードを聴いてみたが導入前に比べ一層落ち着きが出た感じが有る。バックハウスのピアノ(DECCA)やクーベリックのシューマン交響曲(DG)あたりも中々良い感じだ。とはいってもこればかりは数日間あれやこれやと聴いてみなければ分からないので早とちりは禁物なのだが先ずは導入成功といって良いだろう。


【FULL-WAVE SELENIUM HT DC SUPPLY】

以前からプリアンプのヒーター点火について色々と実験しては来たのだが、今回改めて両波整流型DC点火をテストしてみることにしました。元々、当店のプリアンプやパワーアンプは増幅部本体と電源部本体、HV電源の3台のシャーシもしくはHT電源を独立させた4台で構成されていますので、一般的なアンプからすればスペースファクターの悪さは特筆もんで、その上新たに巨大LR独立HT電源なるものを加えるというのは流石にちょっとやり過ぎだろうと思っていたのですが、しかし、今回変更するアンプは6BX7pp構成のプリアンプですのでL/R共通回路で良いのでまだマシかというところで早速完成した電源ユニットをお客様のお宅に持ち込み試聴してみました。なんと傍熱管プリアンプのヒーターDC点火回路を変更しただけで装置が別物になってしまった〜いやいやそれはちょっと言い過ぎですが、そのくらいの表現をしたくなるほどの劇的な音質改善効果は想定外でした。WEダイオードと整流回路の変更だけでこれだけの音質改善効果が有るのなら、古くからフィールドスピーカー用励磁電源や光電管エキサイター、バッテリーチャージャーなどに使われたタンガーバルによる両波整流も試してみる必要が有るのではないか?という誘惑にもかられますが、6.3V-8ADC以上にもなる電源2系統をタンガーバルブを使って点火するとなると、今でさえも発熱との戦いになってしまった感のある我オーディオ装置にこれ以上世の省エネムードに逆行するような悪行?は厳に慎まなければ〜と我に返ったところで、それなら熱エネルギーによって電子の移動を促す必要のないセレニウム素子による整流ならどうだろうか。こちらは4D32ppパワーアンプ用なので手っ取り早くシングルチョークで実験。音質は何も言うことが無いといえるほど素晴らしいものになりました。例えれば、今まで使用していたWEダイオードの両波整流が高級デジタル一眼レフの細部までクッキリと見渡せる超リアリティーな表現だとすれば、今回のセレニウム整流は細部まで見渡せる繊細さとリアリティーはそれ程大きくは変わらないが、もう少し自然なボケ味のアナログ中判カメラのような穏やかで優しさを感じさせる音、敢えていうなら一層コンサート会場の音に近づいたような気分にさせてくれる音という感じがします。遅きに失した感の有るセレニウム両波整流チョークインプット回路の導入からスタートしたヒーターDC点火回路の再構築でしたが、結果的にはアメリカ製ALUMINA CERAMIC PLATE & CERAMIC TERMINAL STRIPによる物理振動対策とMultilayer Ceramic Capacitorによるフィルター回路のハイスピード化が功を奏したのではないかと感じています。


【HIGH VOLTAGE +B SUPPLY】

般的な真空管式オーディオアンプでは両波整流管1本で電源供給をしているものがほとんどですが、当店で製作するアンプでは必ずといっていいほど複数の整流管を使用しています。以前の記述内容と重複する部分も有るかもしれませんが改めてB電圧電源について述べてみたいと思います。個人的にも20〜30代頃まではWE274A/Bや280(ナス管)が最も良い音のする整流管と思い使い続けていた時期も有りました。その後WE 46アンプなどを使い始めると直熱3極管205Dを2極管接続にして半波整流管として使っているのに驚き、何故このような使い方をしているのか?と思いきや何のことはない内部抵抗の高さが整流ノイズ抑制効果としての役割も果たすことと、緊急時のスペア球の確保が容易という理由だったのではないかと考えられます。もっとも、整流管製造の難しさもさることながら、内部抵抗の高い205Dなどの直熱3極管を整流管として使用すれば当然ながら音も良いということで一石二鳥とはこのことだと納得しました。その後に開発された274A/Bや280などもオキサイド型両波整流管の中では比較的内部抵抗の高い整流管ということでそれなりに素性の良い整流管といえますが、それはあくまで一般的なアンプに使用する標準的なという意味でのオキサイド型両波整流管に対する評価であって、トリタン型整流管371Bや705Aなどの付帯音の少ないハイスピード半波整流管との比較ではありません。オーディオアンプの質的向上を目指すプロセスの中でほぼ間違いなく電源回路の不備がネックになることは多くのベテランオーディオ愛好家諸氏が痛感されているであろうと思いますが、願わくばタイミングを失することなくヒーター点火方式を含めて電源の重要性を再認識して頂ければと思います。ご自身のリスニングルームがちょっとしたコンサートホールに早変わりしたかのような気分で音楽を楽しみたいと願う熱烈な音楽愛好家の皆さんには是非ともトリタン整流管+チョークインプット整流方式の音の良さを体感して頂きたいものです。

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